読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【ドイツ旅行②】ドレスデン【スーパーマーケット】

f:id:keigogiek:20170405220031j:plain

彼女と再会したのはドレスデン駅前のレーヴェ(REWE)の野菜売り場だった。公園で彼女と一緒にビールでも飲もうと思い僕はスーパーに立ち寄った。なにか欲しいものがあるか彼女にテキストをして、僕がレーヴェに寄ると伝えた。すると彼女は僕を待たずに直接レーヴェへ来た。

挨拶代わりにハグをした。彼女の肩越しにトマトの燃えるような赤さやきゅうりの深い緑色が目に映った。

別に僕らは深い関係ではない。ただの友達だ。だからロマンチックな再会なんて望んでいなかった。だけどスーパーの野菜売り場はさすがにないだろう。
現実というものはイーサン・ホークの出ているロマンチックな恋愛映画から遠く隔たれたところにあるのだ。

でも僕にはこれで十分だった。偶然の出会いが自分を別のところに運んでくれるだけで満足している。

拍子の抜けるような再会をした後、僕らはビール売り場に移動した。好きなビールがあるかと僕は彼女にきいた。すると彼女はビールはあまり好きじゃないと答えた。

世の中にはビールを飲まないドイツ人もいるのだ。僕は少し驚いた。僕が彼女の事を何も知らないのだという事実もまた僕を驚かせた。でも考えてみると至極当たり前の事で、一緒に過ごした時間が短すぎるのだ。

僕は彼女に勧められたドレスデン産のビールを常温のまま一本手に持った。

彼女はワインを好むようだ。二人で今度はワイン売り場に移った。そこで彼女はふと何かを思い巡らせて、フーゴは好きかと僕にきいた。

僕はフーゴが何かを知らなかった。フーゴはどうやら甘めのシャンパンのような飲み物らしい。

うん、それも飲みたいと僕は同意した。彼女は緑色とピンク色のフーゴを手に取った。

僕は小腹が空いていたのでプレッツェルを1つ買うことにした。

店内をぷらぷらと歩き回る。お菓子売り場や生活用品売り場を通り過ぎる。ハリボーやら黄色いパッケージのクッキー、サランラップやトイレットペーパーが棚に並んでいる。

久しぶりに会ったのに、こんなに生活感溢れるスーパーの店内を歩いてる。なんだか変な感じがして笑ってしまった。

僕らはレジの行列に並び、会計を済ませた。外に出て、彼女はフーゴを自分のボトルに入れて歩きながらでも飲みやすいようにした。彼女はワイルドで、そしてヒッピーなのだ。

どこに行きたいか彼女が尋ねる。僕はビールを飲みながら考えた。

前に一度来たことがあるし、旧市街は軽く見るだけでいいな。見たことないところに行きたかった。ドレスデンの大学をみたいかもしれない。そう彼女に伝えた。

じゃあキャンパスツアーをしようと、僕らは駅の南側にある大学群を歩いて回ることにした。

僕はプレッツェルを袋からだし、表面の塩の塊を払い落とし、それをかじりながら歩く。たまにちょっと立ち止まってビールをすする。

彼女からインドの話を聞いたり、ドレスデンの話や家族の話、他愛のない話をしながら歩く。彼女とは他愛のない話が非常にしやすい。僕は話すのがあまり得意ではない。でも彼女とはなぜか話せる。そういう人はこの世の中にちゃんと存在している。そして当然それは僕にとって救いとなる。

陽気のなか大学に向けて僕らはくだらない話をしながら歩いていく。