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【ドイツ旅行①】ドレスデン【到着】

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ドレスデンに来るのは二度目だった。まさかまたここに来るとは思いもしなかった。ドレスデンは小奇麗だが、取り立てて面白みもなく、この街の観光は一度見ればそれでもう満足してしまうようなものだからだ。

街の大部分は第二次世界大戦の時に英米同盟軍によって破壊されてしまっていた。戦後ドレスデンは復興して新しいビルが立ち並ぶ新しい街になった。

もちろん古い建物もあるにはある。聖母教会という教会がある。その教会には、目を見張るような工夫が施されている。一度破壊された教会のレンガと新しいレンガを組み合わせて作られているのだが、新しいレンガは新しくて白い。だからその教会は古くて黒いレンガと新しくて白いレンガのつぎはぎで作られている。戦争のことを忘れないためにあえてそう作られているようだ。

ドイツでは戦争の惨劇に対し、目をつむるのではなく、ちゃんと直視している。この国ではそういう意識が本当に高い。

今回僕がここに来たのはドレスデンに住む友達が会いに来るよう誘ってくれたからだった。僕達はベルリンのクラブで会った。ヒッピー風の彼女はダンスフロアーでふわふわと踊っていた。僕らはなんとなく一緒に踊って、少し疲れるとクラブの外のチルアウトできる空間で話し始めた。

まだドイツに来て数カ月しか経っていなかったので本当につたないドイツ語しか僕は話せなかったが、彼女は根気よく話を聞いてくれたし、とても丁寧に話をしてくれた。

彼女はドレスデンの大学に通っているが、兄に会うためベルリンに来ていた。これからインドのハイドラバラッドに彼女は留学する。その前に一度兄に会うためにベルリンを訪れていた。

僕は彼女がまだベルリンにいる間にもう一度だけ会った。合計でたった二回だけだ。彼女がインドにいる間には、急になにかを思い出したかのようにテキストが送られてきたり、スカイプをしたりした。

ベルリンからドレスデンまではバスで簡単に行くことができる。時間もそれほどかからない。2時間半ほどで到着する。しかし僕の乗ったバスは道を間違えて一時間ほど遅れた。

バスが着くと彼女にテキストを送った。

”着いたよ。いまどこにいるの?”

”いまバス乗り場の横の公園で本を読んでるよ。”

”わかった。いまからそこに向かうよ。”

5月のドレスデンは暖かかった。空気は少し乾燥していて、日差しが強い。日陰に入ると思ったよりもひんやりとしている。

たった数回会っただけの、こんないつでも切れてしまいそうなつたない関係が自分をドレスデンに連れてきたなんて自分でも不思議だった。そう思いながら公園に向かった。